この記事では3^4を揃えるための基礎知識を紹介します。
3^4の遊び方
3^4の解法を説明する前に、まず3^4を入手しないといけません。しかし、キューブ販売店を見てみても3^4が売っている所は見つかりません。
それもそのはず、3^4は4次元のパズルですので、プログラム上でしか遊べません(残念ながら)。
3^4はこちらからダウンロードすることが出来ます。インストール方法はzipを解凍するだけです。
hyperspeedcube.exeを起動すると、次の画面が出てきます。
こちらが3^4の見た目となります。パーツをクリックすることで面を回転させることが出来ます。試しに触ってみましょう。
何がどうなっているんだ???
というわけで、3^4の説明をする前に、まずこいつが一体どういうものなのか、という話をします。3^3でいうセンターが~、エッジが~、みたいな話ですね。
4次元って何???
そもそも4次元とは何でしょうか。我々が住む3次元空間に時間を足したものが4次元であると認識している人が多くいるかもしれませんが、ここではその認識を一旦捨ててください。
簡単な実験をしましょう。紙と鉛筆を用意して、2本の直角に交わる直線を描いてみてください。
こんな感じですね。では、この2本の直線それぞれと直角に交わる線を、もう一本引くことはできるでしょうか?
できませんね。どの角度で引いても、直角にはなりません。2本が限界だから、紙は「2次元空間」と呼ばれます。
しかし、紙の上から脱出すれば、もう一本の線を作ることができます。線の交点の上で鉛筆を立たせてみてください。
この鉛筆は、確かに紙に書かれた二本の直線と垂直に交わっています。それでは、もう一本の鉛筆を用意して、紙面上の2直線、そしてその上に直立する鉛筆、それぞれと直角に交わるようにすることはできるでしょうか?
やってみるとわかりますが、これは不可能です。なぜなら、私たちが住んでいる空間は「3次元空間」だからです。
しかし、先程紙の上から脱却することによって3本目の線を立てることができたように、この3次元空間から脱却することによって4本目の線を立てることが出来ます。そのような空間こそが「4次元空間」です。
3^4の構造を理解する
4次元の説明を理解しても、いきなり3^4の構造を理解するのは難しいです。そのため、まず次元を1つ下げ、「2次元の住人に3^3を理解させる」ことを考えます。
3^3を2次元の世界に持ってくることはできないので、3^3を撮った映像を2次元の世界に投影します。
上面を透かして真上から撮ると、5つの面を見せることができます。これを用いて2次元人に3^3を教えましょう。
2次元の人に3^3を教えるには、2次元人の気持ちにならなければなりません。つまり、これが元々立体であったことを忘れ、平面図形として考えてみるのです。
すると、真ん中に1つ正方形があって、その周りに4つの歪んだ四角形があることがわかります。
周辺の四角形が歪んでいるのは3次元のキューブを2次元に投影しているからであって、元々のキューブはきちんと正方形をしています。
持ち替えや回転を試してみましょう。
y持ち替えをすると、キューブ全体が90度回転します。これは普通ですね。
さて、x持ち替えをすると、我々には普通の回転に見えますが、2次元人には少し奇妙に見えます。
まず、左右の面はその場で歪みながら回転します。また、中央の面は上へ行き、上の面は消失し、下には新たに面が現れました。面が現れたり消えたりするのは上の面を隠しているからで、それを教えてあげれば2次元人も納得するでしょう。
面を回転させてみても、似たような動きをします。
さて、2次元人に3^3を教えたところで、次は私たちの番です。私たちが3^4を理解するには、3^4を3次元に投影する必要があります。そして、その投影した図こそが、さっきあなたがhyperspeedcube.exeを起動した時に見たあの形なのです。
真ん中に1つ立方体があり、その周りに6つの歪んだ立方体がある。そして最後の1面が隠されている。まさしく、先程2次元人に見せた3^3の4次元版です。
3^3は3次元なので3×2=6面がありましたが、3^4は4次元なので4×2=8つの立方体があります。
ところで、これが3^3の4次元版ということは、これを持ち替えたり面を回転させたりすると、似たような動きをするはずですね。
やってみてください。今なら少しは動きが理解できるでしょう?
パーツの名称
さて、次は3^4のパーツの構造を説明します。
3^4を構成している8つの立方体をセルと呼びます。
3^4には4種類のパーツがあります。セルの中心に埋まっている1色のパーツをセンター、各セルの面の中央にある2色のパーツをリッジ、辺にある3色のパーツをエッジ、角の4色のパーツをコーナーと呼称します。また、センター、リッジ、エッジ、コーナーはそれぞれ1c、2c、3c、4cとも呼ばれます。
次にパーツの命名についてです。
各セルは、上下左右前後については3^3と同じようにUDLRFBを使います。また、内側のセルはI、外側の見えないセルはOを使います。In・OutのI・Oです。
それぞれのパーツは、3^3と同じくそれを含むセルの名前を列挙して表します。例えば下図のハイライトされているパーツはIURとなります。
回転記号
hyperspeedcube.exeではパーツをクリックすることでセルを回転させることができるのですが、このときにクリックするパーツを回転記号に用います。
例えば、ROパーツを右クリックすると次のように回転します。
この回転をROと書きます。また、左クリックすると逆回転するので、この回転をRO'と書きます。2回クリックしたらRO2です。
また、リッジ以外もクリックして回転させることができます。例えば、IUFRパーツを右クリックすると、そのコーナーを軸にしてIセルがこのように回転します。
これをIUFRと書きます。逆回転はIUFR'です。コーナーを軸にした回転は3回で元に戻るので、IUFR2は使いません。
エッジもクリックして回転させることができます。IURエッジをクリックすると、そのエッジを軸にしてIセルが180度回転します。
これをIURと書きます。180度回転なので、IUR'は使いません。
最後に持ち替えについて。
持ち替えは、例えばxyのように、アルファベットを二つ連ねて表記します。これは「x軸の正の向きにあるセルをy軸の正の向きの方に移動させる」ことを表します。
x軸の正の向きはR、y軸はU、z軸はFです。また4次元にはw軸があり、これの正の向きはOです。
逆向きはアルファベットを逆にすることによって表現できます。xyの逆回転はyxです。
操作
先程言及したように、キューブのパーツを左クリックしたり右クリックしたりすることによって、キューブを回すことができます。しかし、実際のソルブではマウスは使いません。なぜなら遅いからです。
ではどうするのかと言うと、キーボードを使います。
左上のHelpからKeyboard Referenceを押すと、こんな画面が出てきます。
キーボードの左側で回すセルに対応するキーを押しながら、右側で回す向きに対応するキーを押すことでセルを回転させることができます。またShiftを押しながらだと2層回し、Altを押しながらだと中層回しができます。持ち替えはXを押しながら右側のキーを押すことでできます。
ピースフィルター
3^4は3^3よりもパーツの数が多いため、画面が非常にごちゃついてしまいます。そのため、救済措置としてピースフィルターというものが存在します。
左上のToolsからPiece Filtersを開き、Presetsを展開した後Edit presetsにチェックを入れます。そして鉛筆のマークをクリックします。
このような画面が出たら、元々書いてあるのを消し、このリンクのページに飛んで、HSC Piece filters (3^4)を開き、Hactar's filters (pink cross) のテキストをコピーしてこの欄に貼り付けてください。
そしてチェックを押し、Edit presetsのチェックを外したらフィルターの設定は完了です。
並んでいる4-crossやMid (back)などをクリックしてみると、このように目的のパーツ以外が透けて見えるのが分かると思います。
また、フィルターをキーボードで切り替えられるようにしておきましょう。
左上のSettingsからPuzzle keybindsを開き、Edit keybind setの下にあるリストから^Filtersを選択します。
既にある2つのキー設定を削除し、次のように設定します。
(設定するキーは他と被っていなければ他のキーでも大丈夫です)
設定し終わったら、Edit keybind setの下にあるリストからDefaultを選択しておいてください。
これでフィルターを切り替えられるようになりました。しかもちゃんと揃える順番に切り替わっていきます。
RKT
最後に、RKTと呼ばれる3^4の最重要テクニックを紹介します。
RKTとは、他の面に一切干渉することなく一番内側の層を3^3のように回すテクニックのことです。
例としてこちらの場面を挙げます。
内側の層にSuneのような形があります。3^3でいうR U R' U R U2 R'に相当するRO UO RO' UO RO UO2 RO'を回すと内側は揃いますが……
このように他の部分が崩れてしまいます。
そこで、全ての回転をRセルに背負わせることによって、これを解決します。どういう事かというと、3^3でいう R z R z' R' z R z' R z R2 z' R' に相当する動きを行います。
こうすることで、外層で変化するのがRセルのみになり、また手順によっては回転が打ち消し合ってもとに戻ってくれます。
ただしRセルがずれる場合もあります。これをRKT debtと呼びます。
RKT debtは気にしなくてよい場合と注意しなければならない場合があります。それぞれについては揃え方編で詳しく説明します。
コミュニティ
最後に、3^4のコミュニティについて紹介します。
Hypercubing.xyzという、3^4などの高次元ルービックキューブを扱うサイトが存在します。wikiや記録一覧などが載っています。現在のWRは1分56秒。(めちゃくちゃ速い)(私の記録は6分15秒(執筆時点))
また、discordサーバーも存在します。鯖のリンクはHypercubing.xyzのホームページにあります。困ったことがあったらここに投げれば大体解決します。
それでは、良い4次元ルービックキューブライフを。